※1月25日セミナー申し込み受付中

【セミナー報告】高次脳機能障害に対する看護ケアのコツ

先日5月19日(土)に、RehaNus脳卒中ケアセミナーにて『高次脳機能障害に対する看護ケアのコツ』というテーマでセミナーを開催させて頂きました。

去年から実施しているこの看護師とセラピストを繋ぎ、よりよい病棟ケアを目指すことをコンセンプトとして取り組んでいるRehaNusセミナーですが、今年度一発目のセミナーでは約30人近い方々にお越しいただきました。

そして、参加して頂いた看護師さんの方々へ、高次脳機能障害というテーマに対して脳の知識や脳画像の見方などを共有しました。

今回はそこでお伝えした内容を、簡単にブログという形でお伝えさせて頂きますので、是非当セミナーの取り組みを知っていただき、今後の皆様の看護ケアのヒントにしてもらえればと思います。

MEMO
尚、セミナー参加者には個別で、実際行ったセミナー内での詳しい解説をお伝えいたしますので、そちらをご参考にしてみてください。

セミナー内容

【当日のスケジュール】

  • STEP.1
    高次脳機能障害とは
    高次脳機能というものにフォーカスをあて、医療的ケアではない部分の問題として捉える視点をお伝えしました
  • STEP.2
    注意障害について
    注意という問題点に対して、4つのカテゴリーから評価するポイントをお伝えしました
  • STEP.3
    半側空間無視について
    左側に対する認識の低下として、脳画像と絡めた病態把握とケアのコツを学びました
  • STEP.4
    失行について
    動作ができない原因を、脳の情報処理の段階の中で生じる問題点としてそのメカニズムをお伝えしました
  • STEP.5
    失語について
    失語の分類と、声かけに対するケアのポイントをお伝えしました

以下に、それぞれに対する概要をまとめていきたいと思います。

高次脳機能障害とは

病棟ケアをする上でまず考えるべきは高次脳とは何なのかという点です。

普段の看護ケアにおいて重要なポイントは、病態を知り、その病態に対していち早く状態回復が行えるよう、医師の指示の元実施するのが医療的ケアにあたる部分だと思います。

その際には血圧や心電図、呼吸状態や意識レベルなどなど、ヒトが生きていくうえで重要な部分としての身体的な機能回復が望まれます。

そして、そういった機能を実際に行うのが脳の中でも脳幹や間脳(ここには視床や基底核、辺縁系といわれる部分が含まれる)といった、いわゆる低次脳としての機能がとても重要になってきます。

この機能なくして、我々ヒトは生きることができず、また動くことが困難になってきます。

そして、そういった脳機能を基盤として、その上位に位置するのが理性や社会性といったヒトが生きるために必要な知恵を司る大脳皮質という部分が存在します。

そして、この大脳皮質が障害を受けるとみられるのが高次脳機能障害というもので、そもそも医療的ケアとは異なる問題点として知っておく必要がある部分になります。

この高次脳機能障害として最も困るのは、生きるために必要な体の機能は備わっていても、実際の生活という場面において様々な問題が生じ、そのヒトの人生や生活の質というものに対して非常に大きな影響を与えるということです。

つまり、患者さんが病院を退院し、社会の中に戻る際にはこの高次脳機能というのは切っても切り離せない部分となるのです。

だからこそ、高次脳機能を理解し、それに応じた看護ケアをすることが、その人の本当の意味での社会復帰や生活復帰につながるということなのです。

それには、脳の障害によってでてくる高次脳機能障害に対して、いち早くその原因を追究して、その問題点に対するその人にあった生活的ケアの実践を早期から行い、今後生活をする上で困るであろう問題点を解決していくことが必要になるのです。

そのために脳の知識や脳画像を通して、どういったケアのコツを必要になるのかを、次にそれぞれの病態の中で説明していきました。

その中で高次脳機能障害として問題点にあがりやすい、注意障害、半側空間無視、失行、失語の4つを今回はターゲットに話をしていきました。

注意障害について

注意障害と一言でいっても、その中身は様々な現象があります。

例えば、食事を例に考えてみましょう。

食事を食べる際には、まずは食事をするといったこと自体に注意を向ける必要があります。

そのためにはしっかりと目の前の食器をみて、何を食べようかと頭の中で考えます。

この時に、テレビの画面に気がそれたり、同室者の人との会話に夢中になったりすると、たちまち食事をしていた手や口が止まってしまいます。

そして、食事をしていても、どの食器の食べ物を食べるのか、おかずばっかり食べるのが良いのか?ご飯も一緒に食べるほうがよいのか?

それによっても注意を向ける矛先が変わってきます。

このように注意をひとつとっても様々な注意という見方があり、それらを今回は認知心理学的要素としての4つの分類から、食事というものについて理解を深めました。

その中で注意を考える要素としては、注意をどう選択して(注意の選択)、どこに比重を置き(注意の分配)、そして続けるのか(注意の持続)、切り替えるのか(注意の転換)という観点から食事におけるケアのポイントをお伝えしました。

そしてこれらを見る際には、動作を別々に評価するのではなく、どういった順番でみるかによっても、何が問題となるかを見分けやすくなるという点を強調してお伝えしました。

半側空間無視について

そして、先程の注意障害においては、方向性に特異的に障害がでるケースがあり、方向性として特に左側に対する注意が向きにくい場合を半側空間無視として捉える場合が多くあります。

しかし、半側空間無視についても

なぜ特異的に左側に障害がでやすいのか?

ほかの症状とはどのように区別すべきなのか?

左とは何に対しての左なのか?

というように、その病態は様々です。

これといって答えがみえないのが高次脳機能障害の難しいところです。

そういった半側空間無視に対する疑問に対して、脳のメカニズムから、その症状の考え方までを詳しくお伝えしていきました。

その中で具体例として、嚥下セミナー講師の小西より、具体的にどういった介入が半側空間無視を呈する方に対して、嚥下を促せるかを実例を通して話してもらいました。

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それには、脳画像をみる力が絶対必要で、その中でも、どの脳部位の障害が、どういった半側空間無視としての現象を引き起こしているのかを、画像を通して皆様と共有していきました。

つまり画像が問題点を探すツールとしてだけではなく、それを用いて患者さんの注意の向け方のヒントにつながる部分をお伝えできたのではないでしょうか。

それには参加された看護師さんも納得される場面が多く、何をみて評価するかのひとつの考え方をしるきっかけにはなったのだと思います。

そして、その半側空間無視を判断するための評価チャートを用いて、どういったときにはどういったケアや対応が必要なのかをお伝えしました。

失行について

半側空間無視が右側の脳の障害にでるのであれば、左側の脳は何をするのかということで、左脳の機能と、失行症状が出現しやすい頭頂葉がどういった機能があるのかを、情報処理の中でどういう風にその情報が流れているのかを、具体例を通してイメージしてもらいながら説明していきました。

失行とは定義としては運動麻痺などの運動機能の直接的な障害がないにも関わらず、行為そのものができなくなるというもので、そういったケースを見たときにはなぜ動作ができないかを考える必要があります。

それには、そもそも我々ヒトが動くために必要なこととして、脳の中で何かをしようという目的が必要になってきます。

目的なしに動く場合は、あまり大脳皮質が必要ではなく、冒頭でも話した低次脳に関わる本能的行動を司る間脳などがその役割を果たすとされています。

しかし、失行は何かを考え、何をしようと頭で考えた事が実際の動作ではできない障害として扱われます。

その時に知っておかないといけない大事なことは、動くためには何かしらの情報が入るこが必要だということです。

そしてその情報も、ただ情報が入ることではなく、様々な情報(視覚や触覚、聴覚など)がどう組み合わさってひとつの行動として表れているのかを判断することが、失行をみる上では非常に重要だということになります。

そのためには情報入力の仕方ひとつで実は、そのあとの行動に変化がでるので、その情報の入力の仕方については次の失語症と絡めて話をしました。

失語について

失語症も他の高次脳機能障害と一緒で、上手くしゃべれない方、話を理解できにくい方、言葉として上手く頭に入ってこない方など、でてくる症状は様々です。

そして、そういった失語症の方もやはり脳内のネットワークのどこかに障害が生じて、ひとつの失語という問題が起こっています。

話しが聞けないなら、どうすればこちらが伝えたいことが理解できるようになるのか?

言葉で出せない場合はどのように表現や表出したら良いのか?

実は、失語症の方の多くは自分の想いがうまく伝えられず、また前頭葉の機能障害も合併する場合などはどうしても自発的な活動が抑制されがちになってしまいます。

皆さんだって、伝えたいことが上手く伝わらなかったり、何を言われているのかわからなければ、動く気力もなくなりますよね?

だからこそ、その方の想いをいかに汲み取り、こちらが関わっていけるかが、その方の自発性を引き出し、その後の脳機能の回復にも大きく役立ってくるのです。

そのためには、脳の中でのネットワークとしての角回縁上回ブローカ野ウェルニッケ野などの情報処理の過程を知ることがすごく重要で、それは脳画像からじゃないと、中々読み解くことができないという点を話しました。

高次脳機能障害に対するまとめ

ここでは、セミナーでお伝えした内容をダイジェストとして記載してみました。

高次脳機能障害の難しいポイントは、こういった症状にはこういったケアが有効というものが決してあるわけではありません。

数ある可能性の中から何が良いかを選択するひとつの手段として、脳の知識を活かして、そして障害を受けた脳や残存している脳の状態を脳画像から推測していくことで、広がる看護ケアの可能性をお伝えさせてもらいました。

そのためには日ごろのケアの中で何が良かったのか、何が逆に良くなかったのかを振り返ってみたり、いろんな情報共有することが、よりよいケアを作っていくひとつの手段なのかもしれません。

そういった意味でも、このRehaNusセミナーで学んだことを、是非現場で実践して頂き、そこでの結果などをフィードバックして頂きたいと思っています。

このRehaNusがそういったプラットフォームとなるように、我々スタッフもまた努力していきますので、是非また興味がある方はセミナーやこのブログに足を運んでみてくださいね。

次回セミナーは、7月7日(土)に、脳卒中患者様のリスク管理に必要なことをテーマに、基本的な脳画像の見方(脳梗塞と脳出血での違いや、画像の種類など)やどうすれば看護ケアが、患者さんの脳に変化を与えるのかという観点や具体的な方法をお伝えしていきたいと思いますので、興味がある方はご参加ください。

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それでは、これで失礼いたします!

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